pickup!

そこにまるで待ち構えたように、小悪魔の嗤い声が聞こえてきた。楽しそうに、ケケケと嗤いながら、ボロボロの骸となったバルザックを囲み、踊る。

「失敗作だ、失敗作だね」
「コイツは役には立たなかったね」
「うつわが無かったのだよ」
「うつわが必要さ」
「さあ剥ぎとろう、進化の秘宝」

そうして、バルザックの骸をどこかの空間に運び込もうとするところに、アルディが叫んだ。

「おい、どこに持っていくつもりなんだよ、何するんだ、答えろよ!」
「こいつは……人間でもない。ウワア、我々の大嫌いな匂いがするぞ。早く逃げろ、早く早く」
「おいてめぇら、俺が人間じゃないってどういう了見だ。俺は、どこからどう見たって人間だろうがよ!」

小悪魔たちは耳も貸さず、どこかに連れ去ってしまった。

「アルディ、いまは我々も手傷を負って満身創痍だ。深追いせず、間に受けないほうがいい」

クリフトがアルディの肩に手を置くと、アルディが哀しそうに呟いた。

「……全部、俺が"人間じゃなかった"からなのか?」
「そうとは言い切れないよ、アルディ。私だって、私が何者なのか。よくわからないんだ」

クリフトは、バルザックの骸が消えた空間を、ずっと見ていた。

更新お知らせ用ツイッターはこちら

おすすめの記事