pickup!

ニタニタと嗤うバルザックだが、息も絶え絶えになってきており、終わりは見えてきていた。

「どうして、サントハイムなんだ」
『知らねぇよ』
「我が美しき国、サントハイムにお前は要らない」

バルザックはそうかそうかと、ゲラゲラ嗤った。

『この国の全ては俺のものだ。そうだ、あの美姫も私の奴隷にしてやろう。私の子をなしーーー』

一瞬だった。
恐らく、クリフトも反射的に動いたのであって、その実はなにも考えていなかっただろう。それほどまでに、クリフトがサントハイムという国と、アリーナを守ることを身体の芯まで根付かせていたということの、証明でもあった。

バルザックよりも、悪魔のような顔をしたクリフトの剣は、慈悲も情けもなにもなく、機械のように、ベラベラとよく喋ったバルザックの口から耳までを貫通させ、そこでクリフトは思い切り身体を捻り、へし斬った。

噴き出すバルザックの血と体液。
微動だにしないクリフト。骨までへし斬ったことで、耐えられずにベキベキ……と鳴るクリフトの剣。

沈黙を破ったのは、バルザックだった。

『うご、うごご……ぎゃ、ぎゃぎゃっ……うう、うごご…』

剣が口から耳までを貫通させているので、もう喋ることも出来ず、ただ、ひたすらに残されたか弱い力で、剣を抜こうとするバルザックに対して、クリフトはさらに剣を深く突き刺し、後ろのマーニャとミネアに向かって叫んだ。

「マーニャさん、ミネアさん!」
「私とミネアの焔と風で!」
「屠ってやるわ、永遠に!」
「「父さんの、仇!」」

飛ぶように、舞うように距離を取ったクリフトと入れ違いに、マーニャとミネアの焔と風が、バルザックを斬り刻み、燃やし尽くし、クリフトの剣は、サントハイムとアリーナを護り尽くすと決めているクリフトの心と裏腹に、ポキン……と折れた。

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