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静まり返っていた群衆は歓喜で湧き上がり、バーンスタイン公爵とブライは顔を見合わせ、お互い安堵の一心で微笑み、トルネコは胸を撫で下ろし、アリーナは両手を口元で合わせ、本当に薄く涙を浮かべ、誰にも聞こえないように呟いた。

「やった…。やったね、クリフト……! みんな…! わたし、私も、少しだけでも頑張れたかな……。勇気を与えること、出来たかな」

その姿をみて、バーンスタイン公爵はアリーナに声をかけた。

「姫さま。ありがとうございました。気迫あふれる見事な舞でございました。神々の声に乗せ、クリフトへも伝わったでしょう」
「そうであることを、心より願っております。バーンスタイン公爵さま。クリフトが功を上げ、成し遂げたこと。私は心より安堵いたしました。もう、サントハイム城は、魔物のものではないのですね…」
「仰る通りでございます、姫さま。問題は山積しておりますが、一番の問題は片付きました。私は息子を誇りに思います」
「ええ。私、クリフトを好きで良かった」

バーンスタイン公爵は、アリーナが見せた光に溢れた笑顔を見て、なんとなく愛というものが、垣間見えたような気がした。

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