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アリーナの長い長い舞が終わりに差し掛かりそうな頃。一際大きな爆発音が、城の方から聴こえてきた。一瞬アリーナは涙を薄く浮かべそうになったが、そこにバーンスタイン大神官が、両手を挙げ、神々への祈りの声を上げ始めた。

魔除と回復が含まれる、大神官だけが上げられる祈りの声は、アリーナの姿を淡く包み、最後の最後にアリーナの身体は光を放った。

「ーーーサントハイムに、光あれ」

大神官が祈りをやめると、無人の城に向かった四人、その城を託された大神官、残された姫君、そして群衆。まるでそれぞれの闘いが終わったように、辺りは静寂に包まれた。

「……終わった、のか?」

群衆のひとりが声をあげた。

「わからない、でも……静か」
「どうなったんだ」

口々に声が上がるのを、バーンスタイン公爵が制した。

「既に使いの者なら送っている。皆、ここは不安だろうが、今暫く祈りを捧げながら、待ってほしい」

武術で鍛えた身体であっても、肩で息をするほど疲れ果てたアリーナは、そっと両の手のひらを組み、一番最初に女神像に跪いて祈りを捧げた。

どれくらい経っただろうか。
使いの兵士が走ってきた。彼は物影に隠れ、ずっと戦闘を見守っており、一部始終を見てきたのだ。

「……アリーナ姫さまに、申し上げます! クリフトさまの剣により、城を乗っ取っていたバルザックは致命傷を負い、最後は絶命しながら、マーニャさまとミネアさまの魔法を受けた模様! 我々サントハイムの、完全勝利でございます」

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