pickup!

「どうだった? アリーナ。初めての下着屋さん」
「可愛かった、また行きたいな」

下着屋で丁寧に包んでもらった下着の入った袋を手にしたアリーナは、ニコニコと笑顔だった。

「地域によって色々違うのよ。歓楽街のモンバーバラは、派手めな下着屋さんが多いの」
「派手って、マーニャやミネアの仕事服みたいな?」
「そう。派手で艶やかじゃないと、お仕事にならないんだなー、これが」
「派手派手しいのが、必ずしも私たちの好みってわけじゃ、ないんだけどね」
「だから、これから買いに行くお店は、男性モノの普段着も扱っているようなお店よ」
「街一番、大きいんですって」
「じゃあ、私、お店の外見は見たことはあるかもしれない」
「まずは普段着。あとは部屋着や寝間着、汚れても良いような、簡単な作業着とか……。そうね、アリーナのタイツも買いましょ」

アリーナは自分が生まれ育った国の領土の、自分の知らなかった面を知ることが出来たことが素直に嬉しくて、笑顔で二人に着いていく。ひと気の少ない裏通りを歩いているつもりだったが、それでも街に住む住人とは鉢合わせし、そのたびにアリーナは老若男女問わず、深々と頭を垂れられた。

城が無人になったことはアリーナのせいではないが、人の生活がままならなくなると、治安は悪くなるし、王家への心象や忠誠は悪くなる一方だろう。そうではなく、サントハイム領の皆は一様に不安を抱えてはいるものの、それをアリーナにぶつけたりもしない。そのことには、アリーナは本当に民に、そしてそれを、治安や経済であったり、裏で他国との微妙な外交バランスでも支えてくれている貴族たちやバーンスタイン公爵、そして同行してくれている、クリフトやブライにも改めて感謝していた。

裏通りから表通りに出ると、その店はあった。

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