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そんなマーニャも、命を奪いに行ってしまった。だから、アリーナはたったひとりぼっちで、神々に向かって舞うのだ。これが自分にしか出来ない闘いなのだと、自分に言い聞かせ、女神像の慈愛に満ちた、つめたい視線の下で。

群衆は、美しい姫が女神像とステンドグラス越しの陽の光に照らされ、ひとり舞う風景の、あまりの神々しさと静かな気迫に、老若男女関係なく恐れ、勝利と平和を願い、一心に祈った。

時々、城の方向から爆発音やガラスが割れる音が、微かな風に乗って聴こえてきて、赤児は泣き、恐怖から老人は涙を流した。それでも、アリーナは舞をやめない。やめるどころか、気迫を増すばかり。

『負けるはずがない。マーニャとミネアは仇を討つし、アルディは今晩もヘラッと笑いながらお酒を飲むだろうし、なにより、なにより、クリフトがいる限り。サントハイムが、ひとが、負けるはずがないーーー』

ーーーああ、それにしても。神さまは、なんてつめたいのだろう。

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